消費者庁から発表された文章に関しての解説を前回のブログNo.2で解説した。
今回は報告書に記載してあった事故に関しての解説を行っていきたい。
2.事故情報
【事例1】
1年前に浴室に取り付けたLED電球がゆっくりと点滅を繰り返すので、密閉型のシェードを外してみたら、絶縁カバーとカバーの根元が離れ、リード線だけでぶら下がっている状態だった。製造元に「浴室専用の電球ではない」と言われた。(受付年月:平成26年6月)
A:既存の白熱球は、実はどこでも使えた。使い勝手が良かった。その為に、一般の消費者は、LED電球もどこでも同じように使えると思ってしまう。 しかし、LED電球は、電子部品で出来ているので、使う場所あった製品を選択していかなければならない。そこが難しい。実際にLED電球の箱には、使用出来る場所や禁止事項など様々な警告が記載してあるが、素人にこれは全て理解できるとは思えない。
事例1:LED電球の記載事項
事例2:LED電球の記載事項
一般の消費者からするとルーメンとは何か?どんな場所で使用したら良いのか?禁止でない場所はどこか?難難しいと思う。どのメーカーも同じように記載しているので、この記載の方法も一般の人でももっと分かる内容に変更した方が良いと個人的には考える。
【事例2】
20数年前に購入した照明器具にホームセンターオリジナルのLED電球を交換して使っていたら6個のうち1個が発火して壊れた。
(事故発生年月:平成28年12月、受付年月:平成28年12月)
A:20数年前に購入した照明器具がどういうものか確認をする必要があるが、考えられるのは6個のうちの1個なので、基本的には器具の方の問題より、ホームセンターオリジナルLED電球の問題だと考えられる。
ホームセンターオリジナル製品は当然価格重視の中で、中国のどこかの会社に委託して安く作らせている可能性が高いので、製造上工程のミスや安い部材を使用していて、ヒューズが飛んでも電流が流れ続け引火したと考えれる。
【事例3】
既存の蛍光灯照明器具に直管LEDランプ10本の交換を行ったところ1年で4本切れた。先ほどボンと音がして異臭もした。大丈夫か。
(受付年月:平成30年4月)
A:既存の蛍光灯器具に単純に直管LEDランプを差し込んだら、既存の安定器との関係で、スイッチをONした瞬間に高電圧が蛍光灯の安定器を通じて流れてくるので、その電気制御がしっかりされた制御回路がなければ、簡単に壊れてしまう。早めに既存の安定器を外した工事が必要。
特にインターネットで買った安い製品は、中国製品の安物でクオリティが低いのが売られているのでサージ対策(雷対策:過電流)もなく危険。
【事例4】
家の廊下のダウンライト。2年前、販売店で使用できることを確認し、LED電球にした。
2週間ほど前、電球が変な光り方をしていたので電気を消して取り外そうとしたところ、ガラス部分が割れ、まっ黒に焦げたような状態だった。ホームページで当該品を確認したら『断熱材施工器具対応』欄に×が付いていた。
家のダウンライトが断熱材施工かは不明。
(受付年月:平成30年6月)
A:LED照明は熱に弱い。その為、密閉した器具や断熱施工の天井など熱がこもりやすい環境では、壊れやすい。
今回は完全に熱の影響による破損を電子部品はなんとか耐えていたが、それが災いして、過電流がLEDチップに流れ続け、LEDチップの封止材部材が先に熱で破損して飛び散ってしまった。
販売店も完全にプロではないので、100%信用するのはどうかと思う。
【事例5】
25年前に設置したシャンデリア。6年前LED電球に取り替えた。1週間前、電球のガラス部分の根元が黒っぽく変色し、複数のひびが入っていることに気付いた。安全性に問題はないのか。
(受付年月:平成31年1月)
A : LED電球やシャンデリア球など安い製品は基本的にサージ対策(雷などが落ちた際に一気に電流が流れたりする)をしていないケースがほとんどだ。 特に家庭用は、雷が落ちたり一気に電流が流れそうな場合は、家庭内のブレーカーが落ちて家庭内が火事にならないように、電気を止めるようになっている。
それを前提にLED電球など小さく安価なLED照明は作られているので、基本的に電流が一気に流れた際に、小さなソケット部に電源を入れなければならないLED電球においては電気が通電しないような電子回路設計になっていないケースがほとんどだ。
その為、部材が破損してもLED電球に電気が流れ続けた結果、当然発熱し、発火してしまう。今回の場合は、発火してしまう可能性があるので、非常に危険だ。
【事例6】
数年前、居間の従来型の蛍光灯用照明器具に環形のLEDランプを取り付けた。一昨日、突然バチバチッという音と共にランプが切れ、部屋中に燃えたような異臭が充満した。天井の照明器具を見ると、LEDランプのソケットから数cm離れた部分が約15cmにわたり黒く焦げ、管が溶けて穴が開き、中の基盤が黒く炭状になっていた。照明器具側も一部が黒く焦げていた。
(事故発生年月:平成31年2月、受付年月:平成31年2月)
A:完全に既存の安定器を通じて、LEDランプを点灯させていたので、電子部品が壊れてしまったケース。
更に電子部品が壊れた中で、サージ対策をしていないので、そのまま電気が流れ続けてLEDチップや基盤上の回路が焼けてしまった。
弊社の製品は国内で生産し、サージ対策も行った上でバーコード管理で品質安全管理も行っている。
【国内製造アプラ®シリーズ】
4.事故を防ぐためのアドバイスから
(1)従来の照明器具を替えずにLEDランプに切り替えるときは、その照明器具に使用可能かどうか、LEDランプの注意表示等で確認しましょう。
LEDランプは、従来のランプと異なる原理で発光するため、ランプ内部の設計は大きく異なります。従来のランプと同様のサイズや形状で、同じ口金を持っており、同じように取り付けることができるようになっていても、組合せによっては、従来の照明器具に使用できない場合があります。
御家庭で使用している従来の照明器具を替えずに、ランプのみを従来のランプからLEDランプへ切り替えて使用する場合は、形や口金、明るさだけで製品を選択せず、照明器具の機能や種類等を見た上で、購入前にLEDランプの注意表示等をよく読み、使用できる組合せかどうかをよく確認してから購入するようにしましょう。分からない点や不明な点がある場合は、販売店やメーカーに確認しましょう。
インターネット通販で購入する際も、掲載内容をよく確認し、不明な点があれば販売元に問い合わせ、トラブルがあった場合は連絡が取れるようにしておきましょう。
A:上記の赤にした個所は全て一般消費者や特に高齢者には難しくて理解できないのではないか? 特にインターネットには詳細説明がない場合も多いし、不明な点が何か分からない消費者も多い中で、問い合わせする内容自体が理解できず、相互認識の違いが生まれやすい。インターネット上は特にトラブルが多く、連絡しても対応してくれないケースが多いと聞く。 電気に関しては、専門家に任せて安心して使用するのをお勧めする。
結論としては、LED照明は、既存の蛍光灯や水銀灯、電球などと全く異なる製品なので、プロのアドバイスに任せるのが一番だ。
また、何かLED製品に疑問があれば、弊社が始めた専門プロによるLED照明の解析・報告をご利用いただくことも出来るので良ければご利用ください。