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CO2削減と世界の自動車業界の再編

author:伴 貴雅

(著者撮影:ザ・アメリカ)

自動車好きからすると、電気自動車なんて興味ないとか、日本で水素自動車なんて流行るの?

などと考えている自動車好きの方は多いと思う。

しかし、この動きが「世界と日本で大きくかけ離れている」のと、実はCO2削減という名の下で、業界再編の策略があるのをご存知だろうか。

日本にいると、ハイブリッド自動車やエコカーに乗っていれば、省エネに貢献していると思っていて、まだまだ電気自動車は高いとか水素自動車は先なのに、たまに水素ステーションを見ると誰が使っているのだろう?と思いがちだ。

しかし、世界を見ると大きく様変わりしている。この2018年からは特に中国とアメリカで様変わりしていく。

実は、このZEV(ゼロエミッション・ヴィークル)規制法を盾に、世界中にその技術力を高く積み上げてきた日本のハイブリット車は技術の締め出しを食らい始めるのだ。

簡単にいうと、CO2の排出量が最も多く車の販売台数が多い国、アメリカ・中国では戦略的に自国産の車を売りやすくし、今まで世界を技術的にリードしてきた日本のハイブリッド車の技術を搭載した車が売れないように仕向けたのだ。

このZEV規制法は、「走行中に排気ガスを全く出さない無排気車の販売の割合」を各メーカーに強烈に押し付けている規制なのだ。

策定しているのはカリフォルニア州環境局の大気保全委員会(CARB)

特に私が学生時代過ごしたアメリカのカリフォルニアでは、全米で最も自動車販売数が多い州。

車社会アメリカの中でもロサンゼルスを中心とした南カリフォルニアでは車の販売台数が非常に多い。

(著者撮影:カリフォルニアロード)

平野全体の市街地が海岸線から山間部の下側にかけて広がっており、スモッグが溜まりやすい地形で、フリーウエイで走っている山間部からロスの市街地に入る時などは上空でスモッグが対流しているのが分かることも多々あったのは事実だ。

そこでCARBが1990年にZEV法を施行した。当初の目標値は、大手自動車メーカーの場合、同州の年間販売総数のうちZEVの比率を1998年までに2%、2001年までに5%、そして2003年までに10%にすると定めた。そして目標を達成できない場合、CARBは自動車メーカーに対して罰金の支払いを命じることにしたのだ。また、ZEVの販売実績は「ZEVクレジット」として、CO2排出権のように売買も可能とした。

日本でのCo2排出権の売買モデルも同じだ。今後は、CO2の排出だけでなく生産自体も絡んだCo2の売買に発展していく。

日本のニュースを見ていると、なぜモデル3の販売台数が伸び悩んでいるアメリカの電気自動車のトップを走るテスラの株価が高かったり、生産性が低いのにどう利益を出しているのか?と思いがちだが、彼らのビジネスモデルは、この「ZEVクレジット」の販売にあった。

2013年に創業10年で初めて黒字になった際には、他社へのZEVクレジットの販売によって売上の12%約68億円を稼いでいたのだ。

規制の対象メーカーが、2012年、カリフォルニア州で年6万台以上車を販売するメーカー6社が該当した。クライスラー、フォード、GM、ホンダ、日産、トヨタだ。各社は販売台数の14%、エコカーを販売しなければならなかった。

そして、2018年型以降は、販売台数が6万台いかない、2万台規模の中規模のメーカー6社も対象になる。BMW、ダイムラー、現代、起亜、マツダ、フォルクスワーゲンだ。日本のスバルやマツダも対象になった。

しかも、各社はエコカーの販売比率を16%に上げなければなならない。電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド(PHV)や天然ガス車で賄うのだ。

(著者撮影:ロサンゼルスの夜景)

ZEV規正法では、日本でエコカーの代名詞になっているトヨタの「プリウス」などのハイブリッド車(HV)が米カリフォルニア州では「18年モデル」から「エコカー」の対象から外される。

日本人が作ってきたこのきめ細やかな技術の進化をアメリカのメーカーでは追随することが出来なかった。

カリフォルニア州は、「ZEV推進プログラム」を8州と覚書を交わしているので、この動きは全州にやがて広がっていく。

各メーカーは世界販売台数、第2位のアメリカ市場にどううまく対応していくかが重要になってくる。

 

 一般社団法人 次世代自動車復興センターHPより抜粋

そして、もう一つの国、中国もカリフォルニアのZEV規制法を独自ルールに置き換えて2018年から取り入れる。

2016年度の販売台数2368万台と、米国を抜いて7年連続世界最大の自動車市場となっている中国での規制もインパクトがある。

出典;2018年NEV規制導入対応

中国が進めるZEV規制法ならぬ「ダブルクレジットスコア制」がかなりやっかいだ。

乗用車の燃費などから換算される「CAFCクレジットスコア」と、「新エネルギー車の生産、輸入」から換算される「NEV クレジットスコア」がそれぞれ付与され、2つのクレジットスコアが一定の割合を満たすように義務付けている。

輸入車が絡んでいるのだ。だから、現地生産で現地に技術を移行しながら、最新の車を現地で生産シフトしていくしかない。

例えば、「NEVクレジットスコア」に関しては、NEV車の生産・輸入台数が販売台数に対して、2018年8%、2019年10%、2020年12%を実現しないといけない。

カリフォルニアと同じように、クレジットスコアが不足する場合は、自動車の販売台数を減らすか、スコアを満たしている他の企業からクレジットスコアを購入するかといった対応をしなければいけないのだ。だから、今中国では新星EVメーカーがかなり多いし、EVの販売台数もアメリカを優に越している。

アメリカや中国の動向を見据えて、EUでの取り組みも進み、ドイツでは連邦参議院が、2030年までに内燃エンジンを搭載した新車の販売禁止を求める決議を可決した。

これが実施されると2030年以降は、ガソリン車やディーゼル車は販売出来なくなるのだ。スーパーカーはどうなる?全てEVか?

結局、世界の排ガス規制で、技術を確立したのは日本のメーカーで、先日もVWの排ガス問題(検査の時だけ、排ガスが基準値を下回るソフトなどでデータの改ざん)が取り沙汰されたように、日本が真剣に捉えて培ってきた技術を超えることが出来ない為、今度は国別で新しいZEV規制を立ち上げ、ペナルティを立ち上げたのだ。

販売台数が強い国が自国に都合の良いように規制を変えていく。

CO2削減の中で、インフラ整備も含めて、次はどのような展開になるのか?

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