消費者庁が先日LED電球などの照明で、この10年間で発煙や火災などの事故が328件起きていると発表した。
この記事だけを読むと分かりにくいので、なぜLED照明において様々な火災などが起こっているのか、私の方で分析して分かりやすく説明したいと思う。
ただ、結論からお伝えすると「既存の照明(白熱球、蛍光灯、水銀灯など全て)と電子機器であるLED照明は、同様に光る照明でも、根本的な構造が全く異なる製品なので、素人の一般消費者が状況を判断をして交換していくのは、ほぼ不可能」だということだ。
付け加えるなら、少しでも電気のことや機械いじり好きな方は別だ。
また、LED照明は単純に長寿命だと認識されているが、電子機器であるLED照明は、設置する環境に大きく左右される為、環境に合わないLED照明を使用すると非常に短寿命になってしまう。結果として既存の蛍光灯や水銀灯、その他の照明より寿命は短くなってしまう。
使用する環境に耐えうる電気機器・部材を使用した上で、その設置現場に合うLED照明を選択する必要がある。
LEDチップが基板から熱で剥がれてしまっている写真
さらに付け加えるとLEDチップ(光る部分:光源部)もその環境に合わせたLEDチップを使用しないと長寿命の定義である40,000時間など到底耐えられず、LEDチップ本体の樹脂の劣化などから照度が落ちたり、色が変色したり、不点灯になったりする。
特に点灯時間が長い場合、1日20時間以上点灯している場合は、多くの照明メーカーが保証期間を通常の半分、保証期間:LED照明本体1年⇒6カ月、LEDチップや電源3年⇒1.5年になってしまうのは、熱の影響によりLEDチップの劣化が早くなってしまうからだ。
例えば、これはLEDチップを拡大した写真だ。LEDチップの上部が熱により封止している樹脂が欠けて破損している。
下記の写真は、左側:正常なLEDチップ 右側:LEDチップの封止材が熱で溶けてしまっている。
報告内容では、LED照明は省エネで寿命が長く、特に11年3月の東日本大震災以降は節電意識の高まりから普及が進んだ。特にLED電球の普及は一気に広まった。
一方では従来の白熱電球や蛍光灯用の取り付け器具のうち、調光タイプなどは、LED照明の取り付けが出来たとしても、危険が生じている。例えば、既存の調光器がPWM信号で調光を行っていた場合、新規で取付を行うLED照明の電源部がPWM信号対応にしていれば、LED照明も使用は可能になる。ただし、その調光回路のシステムが違う場合などが現場で異なるので、PWM信号対応の電源回路を持たせているのか既存の照明と適合しているかは素人には分からない。
【電流値の関係で、ショートしてLED電球が壊れた写真】
簡単に言うと、LED照明の調光の種類は3種類(位相調光、PWM信号、デジタル制御)あるので、既存の調光の制御の仕方とどのタイプが合うか素人では判断できない。また、既存の調光器を使用しながら、LED照明に変更して、照度を落とした際に、フリッカー(ちらつき)が起こったりする場合があるが、それはLED照明の調光対応が位相調光やPWM信号で対応していて、その調光を制御する波形が短い場合、(点灯している時間を短くして)フリッカー(光の残像が目に焼き付き)が起きているように見えたりする。
そういう点からも照明が点灯しているように見えても、市販されている調光対応のLEDランプは調光器との相性が合わない場合が多々ある。取付に関しては注意が必要だ。。
同庁によると、LED照明の事故は09年9月から今年3月10日までの約10年間に328件あり、23件で火災が発生したとのこと。
同庁消費者安全課は「LED電球などのパッケージには、どのタイプの照明器具に取り付け可能か表示してある。既に取り付けている場合でも、正しい組み合わせか不安な場合は販売店などに確認してほしい」と訴えているが、それが素人に分かるのだろうか?
かなり疑問が残る。それを解析していこう。
LED照明事故、後を絶たず=10年で328件の発煙・火災発生‐消費者庁を解説 No.1
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