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気候非常事態宣言が採択! そして今後日本はどうなる?

author:伴 貴雅

    11月19日の衆議院本会議で、「気候非常事態宣言」を採択した。

 しかも、小泉環境相は11月22日に政府が企業の事業所ごとのCO2排出量を開示できるようにする法改正案をまとめて、2021年の通常国会に提出することを明らかにした。 

 現行の制度では、企業の全事業所の合計エネルギー消費量が多い一定基準を超えている企業に対してのエネルギー計画、省エネ法での定期報告をしていく義務を設けているが、さらに、事業所単位に小分けして、企業の出すCO2の排出量を細かく見ていくのが狙いだ。これは、今後全ての企業にとってかなり大変なことになる。

 しかも、今は一定基準以上の排出量が多い大企業に留めているが、こういう基準が今後2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量0%)に向けて、大企業から、中・小企業へと制度が降りてくるのは間違いないので、そのうちに、CO2を1%でも排出をしている企業に対して何らかの形で再生可能エネルギーの費用負担として納税の義務が発生してくるのが政府の方針として読み取れる。

例えばこんなイメージだ。

  1. 企業で働いている人が100人の場合                  100人×1日のCO2の排出量×年間の労働日数=杉の木の本数分で吸収または再生可能エネルギーを生み出す相当量の金額を支払う。
  2. ガソリン車の台数が50台                      ガソリンを使用している量:50台×40L×3回/月×12か月=再生可能エネルギーを生み出す相当量の金額を支払う。
  3. 工場内で生産装置などが発生する機械が10台             生産機械の排出する二酸化炭素分を再生可能エネルギーに変換して再生可能エネルギーを生み出す相当量の金額を支払う。         

 上記を進める上で、今普及させようとしている再生可能エネルギー(過去の再生可能エネルギーについてのブログはこちら)、電気自動車や燃料電池車、住宅の脱炭素化に対しての支払いなどに充てることが出来るので、普及していくことが早まってくる。また、個人もCO2削減が義務付けられ、サプライチェーンで判断される時代が来ることは、2018年の私のブログでも書いている。

 2018年6月の私のブログでテスラモーターズが本業で稼いでいるのでなく、CO2を排出しながらガソリン車を生産しているGM、フォード、クライスラー、ホンダ、日産、トヨタなどから「ZEVクレジット」の販売で稼いでいたことを伝えているが、今回の日本の政策も同じようなスキームで進めていくと思っている。

 また、この動きは、企業の評価として、企業の価値基準としてのウェートを占めるようになってくる:投資対象としての評価にも今後は連動してくるため、ESG(環境・社会・企業統治)投資の後押しになる。

 つまり、投資対象になるかどうかの基準の一つになる。余談だが、国内の上場企業の大株主として70%以上占めているのは、結局日銀や政府系ファンド・年金機構などになる。つまり、日本国内の投資基準の対象は大株主である政府が決めたルールの元で投資対象の評価を決めていくということになる。

 その為、今後30年の中で、まず最初の10年は上場企業、その次の10年で中小企業、同時に社会全体の変化を30年で替えていく「産業革命」のような「社会構造産業改革」のようなイメージで進めていくものと思われる。

 結局、気候の変化、温度が上昇しているのは、今まで人間が豊かな生活を求めてきた上で出来てしまった社会生活の維持、さらに効率的な経済を作るため、産業の構造自体も変えてきた結果だ。しかしその結果、我々人間や動物が生命の宿としている「地球」の存在をないがしろにしてしまった故、今度は我々の生活が温度上昇によって、脅かされてるようになってしまった。今後は、我々が作り上げた技術を踏襲し、地球を守るための産業構造を各国がお互いに協力し合い作り上げていこうことになる。

 しかし、気候非常事態宣言決議案のポイントは、「世界はパリ協定の下、温室効果ガスの排出削減目標を定め、取り組みの強化を進めているが、各国が掲げている目標を達成しても必要な削減量には大きく不足しており、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面している」とのことで、要するに各国は2015年時点ではそこまでCO2排出量による気温の変化に対して真剣に考えていなかったように受け取れる。現実的には目の前の経済を優先するに決まっている。

 しかも、アメリカ合衆国は昨年2019年4月、2015年に設定したパリ協定からの離脱を正式に国連に通告した。今後の地球の在り方を考えた場合、リーダー的存在のアメリカが抜けていて、他の国だけで協力し合っていけるのか非常に疑問が残る。

そもそも、ドナルド・トランプ大統領は地球の温暖化とCO2の排出量のとの関係性に疑問視を当初から発言し、2017年6月にはすでにパリ協定からの離脱を宣言していたのだ。トランプ大統領の離脱の理由は「不公平にも経済的な負担が多い点」を述べていた。

そして、パリ協定からの離脱のプロセスでは、1年を要するので、この11月4日に正式な離脱となる。今回の大統領選の結果で今後の方向性が定まってくるので、アメリカの動きが非常に重要だ。

 それでは、世界のCO2の排出量や日本のCO2の排出量の関係性を見ていこう。

                              No2へ続く

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