ダウンライトのミステリー:脳が感じる“明るさ”の不思議とは?
— 数ではなく「配置と差異」が印象を左右する —
オフィス、ホテル、商業施設、マンションの共用部などに幅広く採用されているダウンライト。「スッキリとした天井」「均一な明るさ」「スタイリッシュな印象」など、意匠性や利便性が高く、建築設計においても欠かせない照明方式の一つです。
しかし、このダウンライト、数を増やせば明るく感じると思っていませんか?
実はそれは半分正解で、半分誤解です。

6台より4台のほうが明るく感じる?— 照明設計に潜む“錯覚”
廊下に同じ照度・同じ型のダウンライトを6台と4台で設置したとします。常識的に考えれば「6台の方が明るい」と思われがちですが、実際に人間の視覚が「明るい」と感じるのは、4台の配置であることが多いのです。
なぜでしょうか?
鍵は「明暗の差(輝度コントラスト)」と「脳の順応」
人間の視覚は、絶対的な光量(ルクス)よりも、周囲との“明暗の差”に強く影響されます。この仕組みは「輝度対比効果(luminance contrast effect)」と呼ばれ、視覚心理学でもよく知られた現象です。
- 均一に明るい照明 → 脳が順応してしまい「当たり前の明るさ」として処理される
- 明るさに強弱がある照明 → ハイライトが際立ち、空間に立体感が生まれ、結果「明るく感じる」
つまり、照明の“差”こそが「明るさ」を感じさせているのです。
実際の研究でも裏付けられています
東京大学の研究(環境心理学・建築環境系)では、同じ照度の空間でも、視覚的変化やコントラストが存在する方が「明るく」「快適」に感じられるという実験結果が報告されています。
また、オスロ建築デザイン大学の研究では、同じ明るさのダウンライトを均等配置した空間と、間隔に差をつけた空間とで、後者の方が「明るく」「印象的」と評価されたという結果もあります。
なぜ「均一=暗く感じる」ことがあるのか?
人間の目と脳には「明順応(adaptation)」という仕組みがあります。明るい光の下では、一定時間経過すると目がその明るさに慣れてしまい、同じ明るさでも“相対的に”暗く感じるようになります。
これが、6台の均一な照明よりも、4台の差のある配置のほうが「明るく感じる」理由の一つです。
実践に役立つダウンライト設計のポイント
✔ 明るさは「数」ではなく「バランス」
→ 単純に数を増やすのではなく、配置に強弱をつけることで、空間の明るさにメリハリを持たせましょう。
✔ 廊下や共用部は「リズムある配置」が効果的
→ 等間隔よりも、視線の動きや利用目的に合わせて配置を工夫することで、明るさの印象が大きく変わります。
✔ 間接照明と組み合わせて空間全体を設計
→ 天井だけでなく、壁面や床面の照度も意識することで、より豊かな照明体験が可能になります。
光は「量」ではなく「設計」で決まる
照明は単なる明るさを確保する道具ではなく、空間の印象を大きく左右するデザインの一部です。だからこそ、単に数を増やすのではなく、「配置の妙」を活かすことで、より上質な空間づくりが可能になります。
サンエスオプテックでは、照明設計の“本質”をご提案いたします
私たちは、LED照明の製造・開発だけでなく、光がもたらす人の心理的影響や空間体験にまで踏み込んだ提案を行っています。「もっと明るくしたい」「暗く感じる理由がわからない」「施工前にシミュレーションしたい」そうしたお悩みやご相談にも、長年の実績とノウハウをもとに、施設規模・用途に合わせた最適な照明環境をご提案いたします。
マンション・ホテル・商業施設・工場などの大規模施設照明の最適化は、私たちにお任せください。サンエスオプテックが、貴社の空間にふさわしい「光の設計」をお届けします。ぜひお気軽にご相談ください。