皆さんはトンネルの中や山間部の国道などで黄色やオレンジに光る照明を見たことは無いでしょうか。これらの照明は高圧ナトリウムランプと呼ばれる光源を使用しています。

 ナトリウムランプには次のような特徴があり、その特性を活かした用途に使用されています。

1.霧や蒸気がある環境下でも視認性が高い

  黄色の光は赤に次いで長い波長の光です。波長の長い光は微粒子が多い環境下でも透過性が高い、屈折しにくい特性を持っています。小中学生の頃、理科の実験でプリズムによって光の成分を分け、虹色を作った事を思い出して下さい。波長の短い青色は良く曲がり、赤はほとんど曲がらずほぼ直進します。赤の隣がオレンジ~黄色の光になります。
レンズを通しても屈折が起こりにくい光ですので、微細なレンズ=霧などの水粒子が多い環境でも散光せずに直進してくれるため、対象物の輪郭もボケずに見やすくなるのです。

2.照明の有効範囲が白色より広くなる。

 人間の目の網膜には、物を見るためのセンサーにあたる視細胞があります。視細胞には錐体(すいたい)と桿体(かんたい)の2種類があり、それぞれ見ているものが違います。
 錐体は物の「色」を見ます。網膜の中央付近に集まっていて数が桿体よりも少なく、色を鮮やかに見られる反面、感度(写真で言うところのISOと言えば解りやすいでしょうか)は低い特性を持っています。簡単に言ってしまえば「暗いと見えない」センサーです。
 桿体は物の「明暗」を見ます。網膜の全体にあり、錐体よりも遥かに数が多くあります。
 桿体には色を見分ける能力はなく、見えるのは緑~橙色の間の光だけです。代わりに非常に感度が高く、「暗くても良く見える」センサーです。

 人間の脳は基本的にシングルタスクなので、錐体と桿体を同時に使うのは得意ではありません。明るい時は錐体を使い、暗い時は桿体を使います。明るいところから暗いところに入ると目が慣れるのに時間が必要で、暗いところでは色の判別がつきにくくなってしまいます。
 人間の目は「錐体で見える時は錐体優先」なので、一番見えにくいのは「錐体でギリギリ見える」明るさの時で、事故が一番多い時間帯が夕方なのもこのためです。
 ナトリウム灯の黄色の光は桿体で良く見える特性をもっており、また、あえて色の情報を無くすことで、より早く目が「桿体モード」に切り換わります。これはトンネルに入った瞬間の視認性悪化を防ぎ、かつ暗いトンネル内での視認性を上げる効果があります。

3.白色の水銀灯より消費電力が少ない

 上記、1と2の特性から、人間の目から見て白色の光よりも黄色の光の方が「暗くても遠くまではっきり見える」ことになります。同じ視認範囲を得るために必要な出力は、白色よりも黄色の方が低出力て済みます。即ち、水銀灯よりも消費電力が少なくて済むのです。
 水銀灯と比べ、高圧ナトリウムランプはおおよそ半分くらいの消費電力で済みます。

4.紫外線を出さず、虫を集めない

 「光に虫が集まる」のは良く知られた現象で、日常的に良く目にする光景です。普段の生活の上では「嫌」なだけのことですが、食品加工の現場や、製造業の現場では虫の混入は深刻な問題となります。
 虫は我々人間の目には見えない「紫外線」の光を見ています。ナトリウムランプはその発光の元となるナトリウム原子の物性から、出す光の波長は589.6nmと589.0nmのみのほぼ黄色の単色発光です。白色の水銀灯には宿命的に青い光の成分を含んでおり、その外側の紫外線も多く含んでいます。
 検査など色の情報が必要なく、虫を嫌う現場では、屋内であっても高圧ナトリウムランプを使用する場合があります。

ハイブライトボックス ナトリウム代替LEDのスペクトル

 

 水銀灯は、水銀使用製品の規制の関係上、その長い歴史に幕を降ろそうとしています。同じような発光方式の高圧ナトリウムランプについては、実は廃棄に規制はかかるものの、製造には規制がかからないという実に微妙な立ち位置にあります。メーカーの対応も、生産を完了する会社もあれば、生産継続を宣言する会社もあり、扱いが割れています。
 用途次第で優れた特性を発揮する特殊照明です。安易に白色に置き換えるのではなく、しっかり機能も代替できるLED照明に置き換えたいものです。

ハイブライトボックス ナトリウムランプ代替LEDの製品情報はこちら

tel:0120-216-717