「電気料金が下がっていない!」
 LED導入後、まもなく1年になろうとしているお客様より、こんなご意見をいただきました。
電気料金明細の束をお預かりし、拝見してみると、確かに最終的な電気料金において、ご導入を決めていただいた時の費用対効果シミュレーションほどの削減が実績として出ていないようです。それどころか今年の9月については導入前の昨年9月よりも電気料金が上がっているではありませんか。

 我々LED照明をご提案している会社が、ありもしない削減効果を宣伝している詐欺会社なのでしょうか。もしそうなら大変な事です。

 高圧契約の電気料金の明細を見ると、電気料金は3つの要素から決まっていることが解ります。一度に使う可能性のある最大消費電力を元に計算される「基本料金」と、実際に使用した電力量ごとに発生する「従量料金」、再生可能エネルギー普及のための拠出金や燃料価格の変動を調整する「調整費」の3つです。

 電気料金が下がらない場合の理由をこの3項目に沿ってご説明します。

◆「基本料金」
 電力契約をしている施設におけるピークの消費電力をもとに基本料金が決まります。
 全体の使用量、ではなく瞬間の消費電力をもとに計算されます。
 通常は1年に1回、見直しがあり、更新月の前1年間の実績の中で最も瞬間の消費電力が多かった月の数値で次の1年の基本料金が決まります。
 その仕組み上、LED導入後の最初の契約の見直し時に参照される消費電力はLED導入前の最も電気を使ったであろう8月か9月の数値が使用されます。そのため、場合によってこの基本料金はLED化後1年間、逆に上がってしまう可能性があります。さらに1年経過すれば、今度はLED化の恩恵を受けた数値で契約更新となりますので基本料金は下がるのですが、最初の一年間は上がってしまう場合があるのです。当然、上がった分は電気料金の削減幅を圧縮します。

◆「調整費」
 増額、減額、色々項目はあるのですが、どの契約にも等しく影響があるのは「再エネ賦課金」と「燃料調整費」です。どちらも使用電力量ごとに1kWhあたりの単価で設定されます。「燃料調整費」については燃料の市場価格の傾向から算出され、その時の世界情勢や為替の影響で増えたり減ったりします。昨年の1月を底とし今年の3月をピークに最大で約3円/kWhの調整幅がありました。この燃料調整費単価が上がれば、当然、電気料金は上がることになります。昨年は非常にこの変動幅が大きく、電気代は大きく値上がりし、LEDによる電気料金の削減予定額を丸々飲み込むほどでした
 また「再エネ賦課金」の方は2030年まで徐々に増えて行くことが予想されており、現在は2.95円/kWhも取られています。年に0.05円程増えていますので、来年はさらに電気代を増やす要因となる見込みです。
 調整費については単価計算となるため使用電力量を減らすことができれば、その分調整費も下がります。

 ◆「従量料金」
 電気を使用した量に応じて発生する料金で、これがもっともLED化の効果が発揮される項目です。他はどうあれ、ここの項目さえ十分下がっていれば、LED化の恩恵は出ていると断言できるところです。電気料金が下がらないとご申告のあったお客様の事例でも、勿論、ある程度の削減効果が出ておりました。ただしその削減幅は事前のシミュレーションとはかけ離れたものでした。問題の核心はどうやこのあたりに有るようです。

 理由として、まず、といいますか、唯一考えられるのは、電気機器の使用状況が大きく変わった場合です。この場合の「変わった」は照明機器に限った話ではなく、施設全体の電気使用量についてとなります。こちらの施設の場合、電気使用量全体に占める電灯の割合は従来照明の時代で32%、LED化後で12%です。全体の12%の中で見込み違いがある程度あったとしても、それほど数字的に大きなインパクトが出てくることはありません。

  消費電力量の推移についてグラフを見ていただけると解るのですが、消費電力量の推移のグラフでは、それなりに削減できているように見えますが、このデータから電灯の消費電力をを抜いてみると、消費電力量はLED化後の方が高くなっています。割合としては平均で13%も悪化したことが解ります。

   
 電気料金において、もっとも影響が大きく、かつ変動幅が大きいのは何と言っても空調です。先程のグラフが月によって変動幅があるのは、間違いなく空調の稼働状況によるものと言えます。裏付けの為に気象庁の気象データで調べてみると、各月の平均最高/最低気温には9月の例外を除けば大きな違いはありませんでした。外気温の1℃の違いで空調の消費電力は10%変わるとも言われますので、その例外の9月は昨年比で平均3℃も気温が高く、それが顕著に表れて電気代を押し上げ、昨年と逆転現象まで起こりました。平均気温が3℃も違った理由は、昨年9月は雨が多く、1カ月のうち18日間も雨が降っていたため、平年よりかなり涼しかったようです。
 ところが今回の例では、気温差がそれほど無い月間でもかなり差が出ています。空調によってこれだけの差が生じているのには訳があると考え確認させていただくと、なんと空調機器は導入から今年で12年を経過していました。空調機器は実は稼働開始時から効率の低下が始まり、年に4%~5%も悪化し続けます。特に何を変えるでもなくても、施設全体の電力消費の5割を占める空調機器のせいで、毎年2%以上電気料金は上がって行くのです。
 しかも、これが12年を超えると、その効率は劇的に悪くなり、年に20%も悪くなる場合があります。これは効率の落ちた(冷えない/暖まらない)空調機器は、いくら運転しても設定温度にならないため、アイドリング状態になることが無く常にフル運転となってしまうために起こります。

 今回の電気料金が下がらない問題の原因は、9月の平均気温の差と空調機器の老朽化によるものでした。

 このように電気料金は複合的な理由で日々変動しています。「電気料金が下がっていない」という現実を見ると焦ってしまいがちですが、落ち着いて分析してみると原因を突き止められるはずです。LED照明は省エネの優等生です。点灯時間が同じなら何年経っても消費電力量はほとんど変わりません。

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