2018年08月07日

ラオスのダム決壊事故から考えるLED製品保証

LED照明や省エネの話としては、少しスケールが大きいのですが、今の世界の産業構造の問題を浮き彫りにする象徴的な事故が起こりました。

2018年7月23日にラオスの南東部に建設されたばかりのダム群の一つが決壊し、下流域に大きな被害が出ました。ダムの決壊によって流出した水の量は、日本で一番有名な黒部ダムの貯水量の25倍にもなりました。

このダムはラオスの国家プロジェクトとして国際競争入札により事業者が選定されました。
このプロジェクトには日本の企業も応札していましたが、日本ではない東アジアの企業が落札し完成させました。
日本の提案は現地の軟弱地盤を考慮した設計で50年保証をつけたもの。対して落札した企業の提案は、日本の提案より安価ながら工期は余計にかかる工法での提案でした。
その見積額は日本案の半分以下だったそうです。
それでも当初ラオス政府には悩みがありました。日本の提案には50年保証があり、東アジアの企業の提案には保証が明記されていなかったのです。
決めかねているところで、最終的には東アジアの企業が日本案と同じ「50年保証」「工期の短縮」を申し出て落札しました。

結論はまだ先の話ですが、決壊の原因は工期の無理な短縮のための手抜き施工によるものと言われています。
今後、壊れたダムの再建築、流域の被害の救済、流域の農地が全て複数年に渡って作付けができない事に対する補償、完成したダムの水力発電の電力をタイに輸出するはずだった分の計画の遅れに伴う逸失利益、さらに下流のカンボジアに及んだ被害の国家賠償相当の補償等々、計り知れない補償が必要となります。
ところが、いざ事故が起こってみると、この企業の提示した50年保証には何の根拠も資本的な裏付けもないことが明らかになってきました。
今、その企業は「事故は天災によるもの」と補償を回避する姿勢を明確にしており、「人災だ」とするラオス政府と対立しています。
最終的には事故を起こした企業の母国が国家補償でもしない限り、この企業が消えてラオス政府は酷い損失を抱えて泣き寝入りすることになりそうです。


(画像: JAXAによる被災地の観測より)

これは結果が最悪でしたが、現在のビジネスシーンでは良く見られる構図です。
少しでも安く契約したいと思えば相見積もりになります。
相見積もりになれば、価格が最も重視されます。
それが解っているので、各社受注の為に他社に負けない価格を設定しようとします。
信頼性の確証も得られていない安い部材を調達し、根拠のない保証をつけて販売してしまう。
競争原理ばかりに囚われていると、一番大切なところが疎かになり、理不尽な結果を招くのです。

LED業界も例外ではなく、ネットで少し調べてみると機器のメーカーが1年保証しかつけていないものを、販売店が勝手に自社で5年や10年の保証をつけて販売してしまっている例がが見つかります。
現在販売されているLEDは、一日の点灯時間が長ければJIS規格で定められた寿命とされる元の輝度の70%を7~8年で下回ります。これは電源に良い部品を、とか国産である、とか関係がありません。
LED素子の構造上、素材上の問題であり、残念ながら現状はLEDである限り回避はできません。
10年保証をつけて、それまでにほぼ全数を無償で交換するところまで当初の金額に含まれているのでしょうか。そうならば良心的です。
ですが、実際には極限まで安い部材を極限まで値引き、薄い利益で売られてしまっているのに長期保証なのです。

「仮に9年目で元の70%の輝度を下回ったら全数交換してくれるのか」

少し考えれば解ると思います。
「お値段以上のサービスは受けられない」
のは当然です。

その価格で本当にそこまで品質を作り込めるのか。
製品の保証や品質について、明確な根拠があるのか。売るためだけの、書面だけの履行できない保証になっていないか。
単に価格だけの競争や、書面だけの保証で決めようとするお客様に正しい情報をお伝えするのも我々の使命だと思います。
適正な製品、サービスを選択しないと結局のところ誰も幸せにならないのです。

参考:JAXAによる被災地の観測

 

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